USAスポーツレポートでは、最新のスポーツ情報をお届けすべく、アメリカのスポーツ文化やトレーニング情報などをお伝えしていきます!今回は、SAQシンポジウムのために来日している日本SAQ協会テクニカルアドバイザーのスコット=フェルプス氏にインタビューを行い、日本とアメリカのスポーツ事情、特に学生スポーツについて日本とアメリカの違いを伺ってきました。
アメリカの新学期はいつから?
日本の新学期は4月に始まりますが、アメリカの学校は一般的に9月に新学期がスタートします。日本のように統一された年中カレンダーがないので、州や地域、学校によって様々です。まさに自由の国! といったところでしょうか。2〜3ヶ月の長い夏休みを終えて、学校に戻ってくることから9月の新学期のことを「Back to School(バックトゥスクール)」といいます。
スポーツシーズン制って?
フェルプス氏が日本とアメリカの大きな違いの一つとして挙げたのは、アメリカの「シーズン制」についてでした。シーズン制とは、季節毎に違ったスポーツを行うことです。
アメリカの学校スポーツは1年を3つのシーズンに分け、3ヶ月のサイクルで旬のスポーツが展開されます。日本のように年間を通して同じスポーツを行うことはありません。アメリカのほとんどの学生はいくつものスポーツを掛け持ちして行っています。選択肢の中から、自分のやりたい・やってみたいスポーツにチャレンジすることができます。フェルプス氏の息子さんも、秋はアメリカンフットボール、春は陸上競技を行っているそうです。様々なスポーツを経験することで、スポーツへの関心や理解が高まり、スポーツを楽しむことができます。この「スポーツを楽しむ」ということがアメリカのスポーツ文化の原点かもしれませんね。
シーズン制の良いところ
シーズン制の利点としては大きく2点あります。
1運動スキルや基礎体力の向上
2スポーツ傷害の予防
運動スキルや基礎体力の向上
人間の身体は、「脳・神経系」、「呼吸・循環系」、「筋・骨格系」によって発達の時期が異なります。各系統が最も高まる時期に、発達を促す運動を行うことが大切です。様々なスポーツでの経験を通して、神経系や感覚器(目、耳、鼻、舌、皮膚)が刺激されることで、「動きのコツ」をつかみやすくなり、専門種目を習得する際の伸びにも差が出てきます。シーズン制は、運動スキルや基礎体力を向上させる非常に合理的なシステムであると言えるのではないでしょうか。
スポーツ傷害の予防
1つのスポーツだけでは同じ筋肉や関節に負担がかかり、慢性的なスポーツ障害の発生の原因となってしまいます。シーズン毎に行うスポーツが変わり、バランスよく身体を使うことで身体が成長する時期に起こりやすいケガの発生を抑えることもできます。
しかし、日本の学生スポーツでは、1つの部活動に所属し、同じスポーツを年間を通して行うことが一般的です。その中で、基礎体力を向上させ、ケガをしない身体を作るためには何が必要なのでしょうか。
SAQトレーニングの役割
SAQトレーニングは、スポーツにおける「スピード」を向上させるためのトレーニングとして知られています。しかし、そのトレーニング内容には、「遊びの要素」が多分に含まれており、幼少期に必要な動作の習得やバランスの良い身体作りにおいて非常に効果的です。もちろん、競技力を向上させるためには、その競技の特徴に合わせたトレーニングが必要ですが、SAQトレーニングは「ゼネラルスキル」と呼ばれる「走る」、「跳ぶ」、「方向転換」などスポーツ全般に必要な基礎的な動きや、傷害発生を予防する正しい動きを身につけることができます。シーズン制の利点とつながる部分が多くあるSAQトレーニングは、日本の学生スポーツおいて有効なトレーニングの一つといえるのではないでしょうか。
今回はアメリカのシーズン制について述べましたが、まだまだ興味深い日本との違いがあります。引き続きこのディスパッチを通して皆さんにお伝えしていきたいと思います! 次回もお楽しみに!
スコット=フェルプス
スピードクエスト社代表
日本SAQ協会テクニカルアドバイザー
現役時代は白人最速のスプリンターとして活躍。故障を原因にトレーニングコーチに転身。NBAやNFLなどのトップアスリートのスピードトレーニングコーチとして活躍し、現在は高校生や中学生などのジュニアアスリートの育成に尽力している。
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