「筋肉」はもちろん、骨や血液、皮膚など、体の多くの組織は、たんぱく質から作られています。私たちの体にとってとても重要な栄養素「たんぱく質」を上手に摂取するにはどうしたらよいのでしょうか。
トレーニングを行うと筋線維に小さな断裂が生じます。ダメージを受けた筋線維を修復することで、筋線維は太く、強くなります。この修復の過程で欠かせないのが「たんぱく質」です。

基本は食事から

たんぱく質を多く含む食品には、肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品があります。さらに牛肉には鉄分が多く、豚肉にはビタミンB1が多いといったように、たんぱく質以外に含まれる栄養素・栄養成分が食品によって異なるので、どれもバランスよく摂るように心がけましょう。

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私たちが口にしている食品は、未発見のものも含めて多種の栄養素・栄養成分が少量ずつ含まれています。これらを組み合わせて料理することで、幅広い栄養が摂れ、相乗効果も期待できます。例えば、豚の生姜焼きであれば、玉ねぎやしょうがに多く含まれるアリシンが、豚肉に多く含まれるビタミンB1の疲労回復効果を高めてくれます。このように食品同士をうまく組み合わせて、バランスよく摂ることで、単品で食べるよりも効果的に栄養が摂取できるのです。

たんぱく質の効果的な摂取

たんぱく質を効率よく摂取するには、量と回数、タイミングがポイントになります。一日の摂取量は体重[kg]×1.5〜2.0gが推奨されています。体重60kgの人であれば、90g〜120gが必要ということになります。これより少ないと筋肉の修復が間に合わず、多くても体脂肪になってしまいます。また、一日の必要量を一度に摂取してしまっても、一回に大量のたんぱく質を消化・吸収できません。一日の必要量を数回に分けて、食事ごとに効率よく摂取することが重要です。
数回に分けて摂るにも、タイミングが重要です。練習で鍛えた筋肉を回復させるために、練習後30分以内に摂るのが理想です。

下表に、たんぱく質を多く含む食品と、目安量におけるたんぱく質の含有量をまとめました。自分の体重であれば何をどれくらい摂ればよいか、組み合せも含めて考えてみましょう。

食品名 目安量(g) エネルギー
(Kcal)
たんぱく質(g)
M1個(60) 76 6.2
豆腐(木綿) 1/3丁(100) 72 6.6
納豆 1パック(45) 90 7.4
アジ 中1尾(80) 97 16.6
サケ 1切れ(80) 106 17.8
牛もも肉(脂身つき) 1人前(100) 182 21.2
鶏ささ身肉 1本(40) 42 9.2
豚もも肉(脂身つき) 1人前(100) 183 20.5
鶏むね肉(皮なし) 1人前(100) 108 22.3
豚レバー 1人前(60) 77 12.2
普通牛乳 200mlパック1本(210) 141 6.9
プレーンヨーグルト 1パック(100) 62 3.6

日本食品標準成分表2010より

サプリメントでの補給

みなさんがイメージする「プロテイン」とは、どのようなものでしょうか? 強い筋肉ができる魔法の薬品だと思って、ジュース感覚で牛乳や水に溶かして飲んでいませんか?
私たちが「プロテイン」と呼んでいるものの多くは「プロテインサプリメント」のことです。「プロテイン」はたんぱく質、「サプリメント」は補うという意味であり、あくまで食事で足りないたんぱく質を補うのが「プロテインサプリメント」の役割なのです。
例えば、練習後帰宅に時間を要し、すぐに食事ができないときや、外食などでたんぱく質の必要量が確保できないときなどがありますね。こんなときはプロテインサプリメントで補うのも一つの方法です。

プロテインサプリメントは、種類によって特徴や機能が異なります。ホエイプロテインは、ヨーグルトの上澄みと同じ主成分であり、その他にも大豆を主成分にしたソイプロテインなどもあります。

種類 原材料 特徴
ホエイプロテイン 牛乳(乳清たんぱく) ・筋肉のエネルギー源が豊富
・消化・吸収が速やかで、利用効率が良い
カゼインプロテイン 牛乳(凝固たんぱく) ・消化・吸収が緩やかで、長時間利用できる
ソイプロテイン 大豆 ・基礎代謝を高める

多くのサプリメントに言えることは、一つの栄養素・栄養成分を抽出して大量に添加することはできても、多種の栄養素・栄養成分を幅広く摂ることは、難しいということです。また少量のサプリメントで大量の栄養が摂れてしまうので、過剰症を引き起こす可能性も否定できません。

今回お話ししてきたことは、あなたの「プロテイン」に対するイメージを大きく変えてしまったかもしれません。しかし、プロテインサプリメントに限らず、「サプリメント」と呼ばれるものは、自分の食生活を補うものという姿勢で使いこなせるようにしてください。
また、サプリメントの中には、アスリートにとってあってはならない「ドーピング」に繋がる禁止物質が含まれているものもあります。皆さんがずっと健康でフェアな勝負ができるアスリートであってほしいと願っています。