日本代表として活躍する選手は、何十年とその競技と向かい続け、たった数日あるいは数分、数秒にベストを出し切らなければなりません。もちろん、それができる選手でなければ世界で戦うことはできませんが、よりベストな状態で競技に臨むことが世界で戦う条件となります。どのようにしたら選手自身が自信をもって競技に臨めるのか、その自信をつけさせてくれるのが「サポートスタッフの役割」でもあります。日本代表選手がメダル獲得数を伸ばしてきたその裏側にも、日本人の良さを生かした強化をするため、日本が一丸となったサポート体制がありました。
大会期間中における栄養班のサポート内容(一部)
・リカバリーミール
(和食を中心としたアスリートの基本の食事を提供)
・リカバリーボックス(補食:おにぎり、100%ジュースなど)
(※国立スポーツ科学センターNewsLetter Vol.23参照)
世界大会は国外での開催が主となります。国内と同じように「普段通りの食事(ディスパッチVol.113 2016年9月号参照)」を、「調整期〜試合当日(ディスパッチVol.116 2016年12月号参照)」まで継続するために、サポートスタッフの力が注がれました。選手だけではなく、サポートスタッフもまた同じように日々問い続けています。目指す場所があるからこそ、「何を食べるのか」ではなく「何のために食べるのか」を。
日本食(和食)は世界のアスリート食へ
最近は「スーパーフード」が注目されていますね。今回は日本人アスリートの力を発揮する秘訣をご紹介します。それは、無形文化遺産として認められた「日本食(和食)」です。和食の持つパワーを見落としてはいませんか?
①ま:まめ類【大豆、納豆、油揚げ、厚揚げ、枝豆、小豆】
良質なたんぱく源。ビタミンB群や鉄、カルシウム、食物繊維といったアスリートに必要な栄養素がまんべんなく摂れることが特長。
安価で入手しやすいところもポイントですね。
②ご:ごま・ナッツ類【ごま、落花生(ピーナッツ)】
カルシウム、鉄などミネラルが豊富。これらの油は抗酸化作用(身体が錆ないようにする作用)があり、疲労回復に繋がります。
③は(わ):わかめ(海藻類)【わかめ、ひじき、海苔、昆布、もずく】
免疫力を高めるため、日本人アスリートのコンディショニングには欠かせません。
④や:野菜(色の濃い野菜を中心に)
⑤さ:魚【鮭、青魚(さば、いわし、サンマ)】
⑥し:しいたけ(きのこ類)【しいたけ、えのき、しめじ、まいたけ】
カルシウムの吸収を助けるビタミンDが摂れることが特長。食物繊維が多く腸内環境を整えます。
⑦い:いも類【じゃが芋、さつま芋、里芋、山芋】
ビタミンCが疲労回復を促し、免疫力を高めます。
いも類のビタミンCは、野菜に比べ料理中に壊されにくいためオススメのビタミンC源です。
⑧こ:酵素【発酵食品:味噌、漬物、納豆など】
発酵食品は腸内環境を整え、免疫力を高めます。腸内細菌は国ごとに特色があることが最近の研究で解明されつつあります。日本の伝統食品である味噌、漬物、納豆は日本人アスリートのコンディショニングの鍵と言えそうですね。
鮭の酒粕汁
・鮭 2切れ
・大根 1/2本
・にんじん 1/2本
・こんにゃく 小1袋
・水 4カップ
・だしの素 小さじ1
・酒粕 80g
・味噌 大さじ2
・小ねぎ 適量
作り方
1.大根、にんじん、こんにゃくを乱切りにする
2.鍋に水、だしの素、1の具材を入れ火にかける
3.鮭を2等分に切る
4.大根とにんじんに火が通ったら、3の鮭を入れ加熱する
5.酒粕・味噌をそれぞれ鍋の汁で溶かし入れる
6.器に盛り、お好みで小ねぎをかけ完成!
季節の変わり目です。インフルエンザや風邪で体調を崩さないよう、だし・酒粕・味噌で腸トレ。胃腸のコンディショニングを万全にし、準備期のトレーニングを乗り切りましょう! 酒粕が苦手な方は味噌だけでも◎
豆腐のそぼろあんかけ
・豆腐 1/2丁
・豚ひき肉 50g
・ほうれん草 1/5束
・えのき 1/3束
・片栗粉 大さじ1
(A)だしの素 小さじ1/2
水 1カップ
しょうゆ 大さじ3
酒、みりん 各大さじ1
砂糖 大さじ1
作り方
1.豆腐を2等分にする
耐熱容器に移し、ラップをかけ電子レンジで2分加熱する
2.ほうれん草、えのきを3cm幅に切る
3.(A)を鍋に入れ、火にかける
沸騰したら、豚ひき肉、2を入れ加熱する
4.火が通ったら、片栗粉を同量の水(材料外)で溶かし、3に加えとろみをつける
5.器に1の豆腐をのせ、4のあんをかけたら完成!
豆腐の良質たんぱくで筋肉量UP。選手の皆さんに自分で作ってもらいたい1品です。あんかけに苦戦する場合は片栗粉を入れず、スープで豆腐を煮ても◎ だしを使ったあんかけは、冷えた身体(特に胃腸)を温め、疲労回復を促進します!