後半では、競技パフォーマンスの向上に必要な「動的柔軟性」を高めるダイナミックフレキシビリティの方法を紹介します。

ダイナミックフレキシビリティを理解する

ダイナミックフレキシビリティは、主に、プリパレーションタイム(準備運動)やコンディショニングトレーニングの一環として活用され、関節の曲げ伸ばしや回旋などを行い、意識的に筋肉を動かしてストレッチを行う方法です。筋肉は意識して縮めることはできても、意識して伸ばすことはできません。伸ばしたい筋肉の反対側に位置する筋肉を収縮させること(自動運動)でストレッチをかけます。

ダイナミックフレキシビリティのメリット
・筋の伸張性が高まるとともに筋間コーディネーションが向上し、体の動きがスムーズになる。
※複数の筋群がうまく力を配分しあって目的とする動きを行うこと
・スポーツで要求される様々な動作に応じた種目があり、それぞれのスポーツに必要な柔軟性を向上させる。

ダイナミックフレキシビリティの効果は、関節を大きく動かして可動域を広げる「動かす部位の効果」だけではなく、動きの中で体を支持するための姿勢やバランスなどの「支持する部位の効果」もあります。つまり、ダイナミックフレキシビリティのトレーニングを正しく行うためには、ただ体を大きく動かすのではなく、姿勢やバランスなどを意識して取り組むことが重要です。また、急激に筋肉を伸ばしたり、速い動きから取り組むことは避け、ジョグや軽めのスキップなどで体をほぐすことから始め、まずはウォーキングなどのゆっくりとコントロールしやすい動きやスピードから行いましょう。

主なダイナミックフレキシビリティのドリル

ダイナミックフレキシビリティは、スポーツに必要とされる動きの予行練習または強調するために利用できます。このため、その場でできる種目に限らず、ウォーキングやランニング、スキップなどを取り入れた種目で実施することができます。また、スポーツによっては前方だけではなく横方向や後方、さらには方向転換などが含まれるので、それらの競技特性を考慮して実施することも必要です。

A:ヒールトーウォーク
かかとから地面に着き、足裏全体で接地した後、膝を高く上げつま先立ちで姿勢を保持しながら歩きます。足の裏で体重移動を感じながら、姿勢やバランスを意識して行いましょう。

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B:ニーアップウォーク
胸の前に上げた手に、膝をタッチするように引き上げながら歩きます。支持脚はまっすぐ、引き上げた脚のつま先は引き上げ、接地は前足部を意識しましょう。

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C:サイドニーアップウォーク
手を左右に広げ、膝を上腕(肘)にタッチするように引き上げます。
体が左右に倒れないように注意しましょう。

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D:トータッチウォーク
蹴り上げたつま先に、反対側の手をタッチしながら進みます。上半身が後ろに反ったり、膝が曲がりすぎたりしないように注意します。

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E:ラテラルツイストステップ
膝を引き上げ、腰の捻り動作で横方向に進みます。膝の引き上げは大きく行い、姿勢が崩れないように注意しましょう。

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F:バックハードラーウォーク
後方に進みながら、ハードルをまたぎ越すように膝を大きく回します。体が左右にふらつかないようバランスよく行いましょう。

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