冬季は来シーズンに向け基礎体力を積み上げる大切な時期ですが、走るトレーニングが苦手という選手やなかなか効果が上がらないことで悩んでいる選手はいませんか? 全身持久力はトレーニングと食事の掛け合わせで向上します。苦手意識を克服して取り組むために今回のポイントをおさえましょう。来シーズン目指す「疲れにくい身体」「スタミナのあるプレー」はすぐそこに見えてきますよ。
エネルギーの消費量が高い
「練習前まで」と「練習後」の炭水化物の摂り方ができていますか? 炭水化物はトレーニングに使うためのエネルギー源(グリコーゲン)として筋肉や肝臓に蓄えておくことができ、これができているとトレーニングの効果が上がります。
体脂肪を燃焼するにも炭水化物が必要
炭水化物を摂らない選手が増えていますが、その分お腹が空いたら好きなものを食べているはずです。それでは効率が悪いことは明らかです。食事の量と、その「中身(質)」を考えていますか?
エネルギー代謝にはビタミンB1
「とにかくご飯は誰よりも食べます! でも、なかなかトレーニングの効果が見られません。疲れが抜けません…」と悩んでいる選手は、「ビタミンB1」の摂り方を見直してみましょう。炭水化物をエネルギーとして燃焼させる過程にはビタミンも必要です。特にビタミンB1が不足すると全身持久力(最大酸素摂取量)が低下すると言われています。次のような食材を取り入れてみましょう。
・うなぎ(かばやき)
・たらこ(おにぎり)
・枝豆
・ナッツ類
(カシューナッツ、くるみ、落花生)
全身持久力(最大酸素摂取量)とヘモグロビン濃度
全身持久力の向上には酸素の取り込み方が重要です。全身に酸素を運ぶ役割は血液中の「ヘモグロビン」が行います。左ページの図:ワッサーマンの歯車で考えてみましょう。ヘモグロビンが歯車で、ミトコンドリアはエネルギーを作る工場です。貧血の状態は、歯車が回らないため全身への酸素の取り込みが悪く、有酸素能力が低下=持久力が低下していきます。食事で改善・予防をしながらトレーニングを積んでいきましょう。血液の状態はどうですか?※
※医師・スポーツ栄養士/管理栄養士の相談のもと判断しましょう。
鉄 …… 豚レバー、牛肉、卵、いわし、カツオ、マグロ、あさり、
がんもどき、厚揚げ、油揚げ、納豆、豆乳
ビタミンC …… ピーマン、パプリカ、ブロッコリー、かぼちゃ、キウイフルーツ、オレンジ
インターバルトレーニングにはBCAA
アミノ酸も運動時のエネルギー源となります。特にエネルギー源になりやすいのが、BCAA(分岐鎖アミノ酸:バリン、ロイシン、イソロイシン)です。 ①グリコーゲンを節約し、②筋肉を増量させ、筋肉のダメージを抑え、③筋肉痛や疲労感を抑えると言われています。
①~③の効果を期待するのであれば、インターバルトレーニング時にBCAAの摂り方を考えてみるのはいかがでしょうか。赤い肉(特に牛肉)や、マグロ、卵、牛乳、大豆に多く含まれます。
豚肉のピカタ
・豚肉 2枚(120g)
・塩こしょう 少々
・小麦粉 小さじ1
・卵 1個
・ピザ用チーズ 20g
・サラダ油 小さじ1
作り方
1.豚肉を2等分にし、塩こしょうをふり、小麦粉をはたく
2.卵を溶き、チーズと混ぜておく
3.フライパンを中火で温め、サラダ油をしく
4.1の豚肉を2の卵とからめ、熱したフライパンで焼く
(この時、余った卵は上からかけるとふっくらした仕上がりになります)
5.1分ほど加熱し、焼き面がきつね色になったらひっくり返す
6.弱火で2分ほど加熱し、焼き面がきつね色になったら完成!
普段は玉子焼き&生姜焼きという組み合わせをアレンジしてみました。豚肉でビタミンB1の補給! ピカタにすることで卵を使いBCAAも取り入れられるので、全身持久力向上のお弁当にオススメです。また、あえ衣は卵と一緒にチーズを使うことでごはんがすすむおかずになります。
写真は女子選手向けのお弁当の目安量です。男子選手の皆さんは1.5〜2倍を目安にお肉・ごはんの量を調節してみてください!
青椒牛肉絲~チンジャオニウロウス~
・牛もも肉(ブロック) 140g
・塩こしょう(牛肉下味用) 少々
・舞茸 1パック
・ピーマン(カラーピーマン) 小8個
・なす 小1個
・サラダ油 小さじ2
・塩こしょう(仕上げ用) 少々
(A)
・すりおろしにんにく 小さじ1
・醤油 大さじ2
作り方
1.牛肉を細切りにし、塩こしょうをふり、平らな皿にのせる
2.1の牛肉の上に一口大にさいた舞茸をのせ、10分ほどおく
3.ピーマンはヘタと中の種を取り、細切りにする
4.なすはヘタを取って2等分にし、斜め切りにする
5.フライパンを強火で温め、サラダ油(小さじ1)をしき、2の牛肉と舞茸を炒める
6.肉に火が通ったら一度皿に取り出す
7.同じフライパンに残りの油(小さじ1)をしき、3のピーマンと4のなすを入れ炒める
8.火が通ったら(A)と6を加え、全体に味がなじんだら、塩こしょうで味を調え完成!
牛もも肉は舞茸と一緒においておくことで柔らかく仕上がります。ブロックがない場合は、薄切りでもOK。牛もも肉の「鉄」とピーマンの「ビタミンC」の食べ合わせで、貧血の改善・予防に! 牛肉は値段が気になる…と思われがちですが、安くなった日にまとめて作り置き!と常備菜にも万能です。