寒さ厳しい日が続きますが、皆さん風邪など引いていませんか? 春の試合を抜群のコンディションで迎えるためにも、風邪への対策には気が抜けません。今回は、風邪の予防と対処を一緒に考えてみましょう。
風邪のウイルスと体の免疫
「風邪」のほとんどは、体にウイルスが入り感染することで喉や鼻が炎症を起こすことを言います。これらのウイルスはいつでも、どこにでも浮遊していますが、睡眠不足や栄養不足などで体の免疫力が低下すると感染しやすくなり、風邪を引いてしまいます。ウイルスの種類によってその症状は異なりますが、感染は一年中いつでも起こる可能性があります。特に冬に感染する可能性が高いのは、低温で乾燥した環境を好むウイルスが多いためです。
対する体の免疫は、体温を上げることでウイルスに応戦します。一般的に平熱は36˚C程度とされていますが、風邪を引くと37〜38˚Cに熱が上がります。体温が1˚C上がると代謝量は20%増加し、免疫細胞の増加と活性化を促します。
風邪予防には「手洗い、うがい、マスク着用」
風邪の感染経路には、「飛沫感染」と「接触感染」があります。
飛沫感染とは、感染者のくしゃみや咳を、1〜2mの距離にいる非感染者が口や鼻から吸い込むことによって感染することを言います。マスクをすることで口や鼻をこれらから守り、うがいをすることで喉に付着したウイルスを洗い落とし、喉を潤すことができます。マスクはいつも清潔なものを着用し、うがいはこまめにするとよいでしょう。
接触感染とは、感染者が触れたものを、非感染者が触れることでウイルスが手に付着し、その手で鼻や口、目などに触れることで感染することを言います。こまめに手を洗うことでウイルスを洗い流し、口や目にウイルスが触れないようにすることができます。
正しい手洗い、うがい
風邪の予防には手洗い、うがいが重要です。普段皆さんは、ウイルスの感染を予防するための正しい手洗いうがいができていますか? 下の図は、手洗いのときに洗い残しをしやすい部分を示したものです。洗っていたつもりでも、意外と洗い残しがあることに気付くことでしょう。親指や指先、指の間を意識して洗うのがポイントです!
正しいうがいの方法も覚えましょう。まず、①水を口に含み、少し強めに「ブクブク」とゆすいで吐き出します。口にあるウイルスを喉に入れないために、まずは口をゆすぐのがポイントです。②水を口に含んで上を向き、喉の奥で「ガラガラ」と15秒うがいをします。②をもう一度繰り返します。せっかくの手洗い、うがいも、共用のコップやタオルを使ってしまうとウイルスも共有することになるので、自分専用のものを準備しましょう。帰宅後に手洗いうがいをするのはもちろんですが、食事の前に手洗いうがいをすることで、手や口に付着しているウイルスを食事と一緒に飲み込まないようにします。食事を作るときも、手をしっかり洗い、清潔な衣服を身につけ、マスクを付けることで、食事にウイルスが付着しないように気を配ると良いでしょう。
風邪を引いたら「安静、保湿、栄養」
風邪を引いてしまったら、体はまずウイルスと戦わなくてはいけません。このようなときに激しい運動をすると、敵であるウイルスを増やしてしまうので、体の免疫力を上げてウイルスと戦いやすくするために、温かくして安静にしましょう。
多くのウイルスは低温で乾燥した環境を好みます。ウイルスが好まない湿潤な環境にするために、水分補給は欠かせません。風邪の予防にも言えることですが、特に温かい飲み物をこまめに飲むと体温が上がり、喉も潤います。部屋の温度は20〜25˚C、湿度40〜50%に保つと良いでしょう。
失った体力を取り戻すために、栄養もしっかり摂りましょう。
ビタミンA・C・Eをまとめて、「ビタミンエース」と呼んでいます。これらは体の免疫力を高める効果があり、ひとつずつ摂るよりも、一緒に摂ったほうがお互いの効果が高まります。
ビタミンAはウイルスの入り口である鼻や喉の粘膜を強くする働きがあり、レバーやうなぎ、緑黄色野菜に多く含まれます。レバーやうなぎなどに含まれるレチノールは吸収が良い一方で、過剰に摂ると健康を害することもあります。緑黄色野菜に多いβ-カロテンは吸収が悪いので、油と一緒に摂ると吸収が良くなります。必要に応じてビタミンAに換えられるので、摂り過ぎの心配はありません。
ビタミンCは血管や皮膚、筋肉などの材料になるコラーゲンを生成する働きがあります。コラーゲンが不足するとこれらが弱くなり、ウイルスが入りやすくなります。また体の免疫を強くする働きがあり、ウイルスを攻撃する白血球を強化します。果物、緑黄色野菜、芋類に多く含まれますが、ストレスを感じると消耗されるので、寒さや疲労などでストレスが重なる風邪のときには特に多く必要になります。
ビタミンEは全身の血行を良くし、体を温めることで免疫力を高める働きがあります。種実類、植物油などに多く含まれますが、摂りすぎると脂質の過剰摂取に繋がるので、注意が必要です。