競技パフォーマンスを高めるためには、戦術・技術面に偏ることなく、その土台となる体力面の強化やライフスタイルの改善も必須です。
特に、この春から新しい環境で部活動に取り組む新入生の皆さんは、練習環境や練習量の変化に適応していくためにも、パフォーマンスの土台をしっかりと作っていく必要があります。
しかし、基礎体力の強化と言って、ただ闇雲に走り込みや筋力トレーニングを行っていてはいけません。姿勢や柔軟性、バランス能力など、自分の体の特徴や今の体力を把握した上でトレーニングを行うことが大切です。そこで今回は、2つのエクササイズを用いて、体の状態をチェックする方法をご紹介します。
オーバーヘッドスクワット
体の軸ができているか、足首、膝、股関節、体幹部の柔軟性や安定性などをチェックする方法です。体幹トレーニングや下肢の筋力トレーニングにも適した種目ですが、選手が適切な可動性と柔軟性を身につけているかをチェックする方法としても有効です。
1.両手を頭の上に伸ばし、横から見て地面に垂直になるようにまっすぐな姿勢を作ります。
[写真1][写真2]
2.まっすぐな姿勢を保ったまま、スクワットを行います。腕は耳の横、足裏は地面に着けた状態を維持し、股関節が膝の下に来るまで下げます。[写真3]
□ 姿勢(横から見て体がまっすぐの線に近ければ近いほど良い)
□ 動作が正しくできているか、動きはスムーズか
写真4:土踏まずを潰すような動きをしている、膝が内側に入っている
→臀部の筋力不足
写真5:上半身が前に傾きすぎている
→股関節の柔軟性不足
写真6:腰が丸くなっている、踵が地面から浮いている
→ハムストリングスが硬い、足首の可動性が悪い
片足ジャンプ着地
姿勢、バランス、安定性など、特に動的パフォーマンスをチェックする方法です。バランスは、アスリートの運動能力を高める上でも重要な要素の一つですが、特に若年層においてはトレーニングプログラムの根幹となるべきものです。
また、ジャンプの着地時に安定した姿勢を作れることや、姿勢が崩れた時・崩された時に素早く修正する能力は、素早い切り返し動作を身につける上でとても重要なことです。
1.線の上に片足立ちをして、もう片方の足は膝を前に上げます。[写真1]
2.1の姿勢を保持したまま、軽く上にジャンプをして線の上に着地します。
[写真2]→[写真1]
□ 左右の足で安定性に差がないか
□ 立位時にしっかり膝が上がっているか、 支持脚が曲がっていないか
□ 線上に着地できているか
□ バランスを崩さずに着地できたか
□ バランスを崩した場合、元の姿勢に戻るまでにどれくらい時間がかかったか
写真3:着地してフラフラしている、着地点がズレる
→空中での姿勢が安定していない、または足首のケガや可動性不足などの機能の問題がある
これらの種目は、「できない=良くない」ではありません。足りない部分が「伸びしろ」であり、今回チェックした姿勢やバランス能力、柔軟性といった要素は、年代や競技レベルに関係なく身につけておきたいものです。特に、股関節周辺の可動性やバランス能力などは、走る・跳ぶ・方向転換などのゼネラルスキル※の強化にも大きく関わってきます。自分の体の状態を把握して、段階的かつ安全にトレーニングに取り組みましょう。
※ゼネラルスキル …… 競技の専門的スキルの基礎
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