アイシングの目的
スポーツ中に起こる突発的なケガの応急処置として、アイシングは大きな役割を果たします。この受傷直後の処置が予後を決定すると言っても過言ではありません。しかしアイシングが活躍するのは、実は応急処置だけにとどまりません。コンディショニングのあらゆる場面で利用可能であり、あなたの競技生活を強力にサポートします。ここではアイシングの様々な応用方法を紹介します。
[1] 慢性的な痛みを軽減:痛みとそれに伴う炎症や筋肉のこわばりを軽減する
[2] 疲労回復(リカバリー):運動中・運動後に筋肉の疲労回復を促す
[3] RICE処置:腫れや内出血を最小限に抑え、回復を早める
[4] 熱中症の応急処置:太い血管を冷却し、急速に体温を下げる
[関連]スポーツアイシング
[関連]ケガ直後にすべき応急処置
慢性的な痛みを軽減
スポーツ選手なら、ほとんどの人が慢性的な痛みを経験したことがあるでしょう。よく使う特定の関節や筋肉に繰り返し負荷がかかることで、その部位が炎症を起こし、痛みが発生します。医師からは「しばらく様子をみましょう」とか、「痛みの出ない範囲なら練習しても良いでしょう」と言われてしまった…アイシングが活躍するのはこんなときです!
冷やす時間の目安は10〜15分間
①痛みやこわばりを軽減させることが目的
②痛みが再発する運動後に行うと効果的
③運動前のアイシングを行なう場合は感覚が戻ってから運動を行う
運動の前後に有効
[運動前]:練習に入ろうとしたら痛みがある場合
知覚神経を鈍らせ、さらに、冷却時の血管収縮と冷却後の血管拡張を利用して、スムーズなウォームアップへ繋げます
[運動後]:関節に負担のかかる高強度な試合・練習をした場合
関節内の炎症を抑え、二次的損傷などの悪化を防ぎます
クライオキネティクス
アイシングと関節運動を組み合わせることによって関節の可動性を高めます
②冷却により痛みの感覚入力が減少し、筋もリラックスしたところで段階的な自動運動を行います
※ケガした直後には行わないでください
※痛みが強い場合は行わないでください
疲労回復(リカバリー)
1日に試合やレースが何回もある場合は、その間に疲れを取らなくてはいけませんし、毎日のように試合が続くときには、翌日以降に疲れを残さないことが勝敗の決め手になってきます。また、練習の質を高めていくためにも、毎日の疲労回復はとても重要です。
運動の前後・運動間にアイシングを行うことで、筋肉の疲労を速やかに取り、リフレッシュして次の試合により良い状態で臨むことができます。
時間にしてせいぜい5分程度
①冷却の時間を短くして、筋温を適度に下げることが目的
②軽くストレッチやジョギングを組み合わせるとさらに効果的
③練習や試合の間に行ってもよい
運動の前後・運動間に有効
[運動前]:昨日の疲労が抜けず、筋の張りがある場合
筋の過剰収縮や興奮を低下させ、筋の張りを緩和します
[運動間]:試合間で腕や太ももがパンパンの状態である場合
高まった筋温を低下させ、再び筋活動ができる状態へ回復させます
[運動後]:ハードな試合や練習で筋肉痛が起こりそうな場合
損傷を最小限に抑え、回復を早めて、次の日も動ける身体に整えます
早期回復を促す方法
・アクティブレスト(積極的休養)
疲れた時は、軽運動(ジョギングやウォーキング)で全身の血流を促進します
・◯◯+ストレッチング
軽運動、入浴、アイシング、ホットパックなどとの組み合わせによる相乗効果で血流を促進します
・シャワーと入浴を併用
水圧・温熱・浮力によって血流を促進します
・コントラストバス(交代浴)
全身を温める・冷やすを交互に行い、血管の拡張・収縮によるポンプ作用で血流を促進します
[関連]交代浴について
ホットパック
温めることで筋肉のこわばりや循環不全を軽減させる効果があります
ケガ直後にすべきRICE処置
ケガをした患部やその周辺をすぐに冷やすことで、血管を収縮させて患部の内出血や炎症を抑え、腫れや痛みを最小限に抑え、悪化を防ぐことが目的です。
冷やす時間の目安は痛みの感覚がなくなる程度(15~20分)
①安静、冷却、圧迫、挙上を繰り返す
②冷やす媒体の温度は0度に近いことが望ましい
(0度未満の氷は凍傷を起こす危険性がある)
・あくまで「応急処置」であり、「治療」ではない
・必ず整形外科医かスポーツ医を受診する
素早く体温を下げるための熱中症の応急処置
一刻も早く体温を下げる
①意識障害の有無の確認
②水分補給の可否を確認
③症状改善の有無によって重症度を判断し、対処する
④重症の場合には119番通報
[関連]熱中症の応急処置
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熱中症の予防には運動前のプレクーリング・運動中の熱冷ましとして
休憩時、試合時のタイムアウト、ハーフタイム、延長戦前などに行う
時間の目安は10分以内
①抹消部(手のひら足底)、額、首から肩にかけて、あるいは全身の熱を冷ます
②熱を冷ます媒体の温度は、10~15度が望ましい
③全身冷却の場合は、約25度の水温で30分程度の冷水浴が効果的(特に持久性の運動)
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