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熱中症

熱中症とは

高温な環境が原因となって発生する障害を総称して熱中症といいます。スポーツなどの運動をすると筋肉などから熱が発生し体温が上昇します。激しい運動中に身体から発生する熱の量は、安静にしている時の10倍以上になるといわれており、体温の上昇に伴い皮膚の血管が拡張し、そこを流れる血液の量が増えます。また汗も出て、余分な熱を身体の外に放散させます。これらの生理的しくみによって、体温はほぼ一定の範囲内に保たれます。ただし、高温の環境下では、これらの仕組みが正常に働かなくなることがあります。大量に汗が出ているのに水分を補給しないでいると、身体は脱水状態となり、体内を循環する血液の量は減って熱の放散が逆に減ってしまったりするのです。このような状態が熱中症です。

熱中症の病型

室内・屋外を問わず高温多湿の環境下において熱中症の予防に最大限の努力をすることは大切なことです。熱中症の症状が見られた場合、適切な処置を行わないと生命に関わることになってしまいます。熱中症の症状について正しい知識を持ち、いざ目の前で熱中症の症状で体調の異常に苦しんでいたら、速やかにまわりの人の協力を得ながら処置を行うことができるようにしましょう。

熱失神

炎天下で長時間立っていたり、立ち上がったりした時、運動後などに起こります。血液が下肢にたまることで、血圧が低下し、脳へ送られる血液が減少しておこるもので、めまいや失神(一過性の意識消失)などの症状がみられます。足を高くして寝かせると通常は回復します。

熱痙攣

運動中に沢山汗をかいて水分を補給をする際に、塩分を補給しないまま水分だけを摂取することでナトリウムの欠乏状態が生じ、それによって筋肉の痙攣が起きることがあります。高温多湿な環境での重労働や、春から秋にかけての競技中・練習中に起こることが知られています。発汗とともに、身体のあちこちの筋肉が痛みとともに痙攣するのが特徴です。

熱疲労

大量の発汗や、不十分な水分補給、更には体調不良から下痢などを起こしている選手にもこの障害は起こりやすいとされています。皮膚は青白くてやや冷たく、体温は通常か若干上昇しています。喉が乾く、身体がだるいなどの症状の他、頭痛、めまい、吐き気なども訴えます。熱疲労は、熱射病の前段階ともいえます。この時点で選手の異常に気づいてやれることが、熱射病の事故防止につながるのです。

症状
めまい、頭痛、大量の汗
冷たくベトつき蒼白な皮膚
速く弱い脈

熱射病

熱射病は、体温が放散されずに体内に蓄積され、身体の内部の体温(深部体温)が異常に上昇しているという極めて危険な状態です。体内の体温調節中枢機能に異常をきたし始めているため、自分で発汗して体温を下げようとすることができなくなります。このため、皮膚は赤くほてった状態で乾燥しています。この状態では意識障害がみられ、反応が鈍い、言動がおかしいといった状態になり、さらに進行すると昏睡状態になります。熱射病は命の危険のある緊急事態であり、救命できるかどうかはいかに迅速に体温を下げられるかにかかっています。

症状
見当識消失、意識消失、発汗停止
熱く乾いて赤みを帯びた皮膚
高体温、速く強い脈

熱中症の救急処置

熱中症を4つの病型に分けて説明しましたが、実際の例ではこれらの病型に明確に分かれているわけではなく、いくつかの症状が組み合わさっていると考えられます。したがって、救急処置は「意識障害の有無」「水分は摂取できるか」「症状改善の有無」によって重症度を判断し、対処するのがよいでしょう。

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基本の姿勢

熱中症

・なるべく素早く日陰の涼しい所に移動させる
・衣服を緩める(ベルト、靴下)
・冷やす(首、わきの下、脚のつけ根、膝裏、足首)
・脚を心臓よりも高く上げる


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