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■水分不足はパフォーマンスの低下に!?

水分は体の60%を占め、体内で溶媒、潤滑液、運搬液、そしてアスリートにとって特に重要とも言える冷却液としての役割など、人間が生命を維持するために欠くことのできない要素のひとつです。 にもかかわらず、水分摂取はスポーツの現場で恐らく最もおろそかにされている物の一つと言えます。
1日に摂取する水分がコーヒー数杯、炭酸飲料2缶などという意識の低いアスリートも見受けられます。このような水分摂取は、熱中症の原因になるだけでなく、パフォーマンスレベルを落とすことにもなりかねません。運動中体温が上昇すると、皮膚から発汗が始まり、汗が蒸発すると共に熱も奪われて体温が下がります。しかし、体内に十分な水分が存在しないと、上記の体温調節の機能が低下し、熱中症を引き起こす原因になります。
個人差はありますが、練習の前後で比較するとアスリートは発汗によって1〜2kg程度の水分を失います。アメリカで行われた研究では体重の2〜3%の水分を発汗で失うと有酸素性運動能力がおよそ10%下がるという結果も出ています。つまり、夏の暑い環境下で水分を怠ることは熱中症の危険性が高くなるだけでなく、アスリートの有酸素性持久力も低下してしまいます。


■こまめに水分補給を

「のどが渇いた」と感じた時点で、身体内の相当量の水分が既に失われています。のどの乾きを感じる前にこまめに水分を補給しましょう。また、普段から練習の前後に体重を測る習慣をつけましょう。この練習前後の体重差が運動中に失われた水分量の目安になります。0.5kgの体重減には500ml(コップ約2杯分)の水分補給が必要です。できるだけ、失った量よりも若干多めの水分を補給するように心掛けましょう。

<例>: 体重を測定し、体重が2kg減った選手は、トータルで2リットル強の水分補給が必要。

トイレで排泄した尿の色をチェックすることも、体内の水分チェックの目安となります。尿の色が薄ければ、水分補給は適切であると言えますが、明るい黄色や濃い黄色の場合は身体が脱水気味かも知れません。その様な場合は通常より多めに水分を摂りましょう。


■水分補給のワンポイントアドバイス

  • アルコール飲料は絶対に避けましょう。脱水状態を促進させてしまいます。
  • 炭酸飲料はできるだけ控えましょう。(炭酸飲料は糖分が多い為、血糖値が上がりやすく、食欲が低下し必要分の食事が摂れなくなります。)
  • 普通の水は味がないため、飲み慣れないアスリートには歓迎されず補給がすすみません。水分補給を抵抗なく行うために、口当たりの良いバイオ茶や、2倍に薄めたスポーツドリンクなどをミネラルウォーターとともに準備することも一つの方法といえます。
  • 暖かいドリンクよりも冷たいドリンクの方が飲みやすく、吸収も早くなります。(季節にもよりますが、5〜15℃くらいの飲料水が適しています。)

■具体例

  • 運動開始2時間前
    ミネラルウォーター
    又はミネラルウォーターで半分薄めた100%果汁ジュースなどをコップ2杯


  • 運動開始30分前
    ミネラルウォーター
    バイオ茶
    又は2倍に薄めたスポーツドリンク1杯


  • 運動中
    15分〜20分おきにミネラルウォーターをコップ1/2〜3/4杯

  • 注: 装具をつける競技(キャッチャー、アメフト、剣道など)は発汗量が多いので、特にこまめに水分を摂るようにして下さい。

  • 運動後
    15分以内にコップ1〜2杯
    (この時に運動中失ったエネルギーを補給する意味で糖質も摂取できれば、より好ましい。また、飲み過ぎて食欲に影響が出ないように注意する。)

■ドリンクの選び方

バイオ茶が最適!
水分の補給だけでなく、バイオ茶のように体内への吸収も良く、ビタミンやミネラルを摂取することが可能なドリンクもあります。またバイオ茶は水出しすることにより、タンニンが抽出されず貧血気味の選手に効果的です。このバイオ茶をミネラルウォーターで作って利用するのは、運動選手の水分摂取に理想的で、逆に、水分に砂糖などの余分な物が混じっていると、その分吸収される時間が遅くなってしまいます。運動直前や運動中にフルーツジュースなどの糖分を多く含むドリンクを摂ってしまうと、その中に含まれる果糖が上手く吸収されずに腹痛の原因になることもあるので、このような水分摂取はお勧めできません。
糖分を含んだドリンクは一般的には好ましくないのですが、長時間にわたる運動中は水分以外にエネルギー源となる炭水化物の補給も必要になるため使用されることもあります。